2025/04/22 14:27

――開かない屋根の下に、閉じ込めた夏がある。
真っ黒なボディに、ちょっと無茶だった日々を映して。
人生にちょっと速い季節があったなら、きっとあの頃だ。――

 

Porsche ボクスター(987

Stylephotoreal

出会いは、憧れだった

天下のポルシェ。
その名前に、一度は乗ってみたいと、ずっと思っていた。

4年前、愛知の中古車屋で見つけた2005年式のボクスター。
色は黒。
グレードや装備の前に、「状態がいい」と思えたことが、すべての理由だった。

エンジンに火を入れた瞬間、体の中に何かが走った。
「これが、ポルシェか」
そう思っただけで、笑みがこぼれた。


――あの日のはじまりは、

思ったよりも静かで、確かな音がした。――


日常と、ちょっとした事件たち

よく走ったのは、箱根ターンパイク。
中学時代からの友人と、何度もあの坂を登った。
ひとりでも行った。気持ちがざわついた日ほど、走りに行った。

でも、ちょっとクセのあるやつだった。
屋根が開かなかったり、旅行先で固まってしまったり。
「これ、マジで開かないんだけど」って笑うしかない日もあった。

それでも、
ポルシェという響き以上に、この一台にはあの頃の空気がこもっていた。


――開かなかった屋根と、開きっぱなしの思い出。

少しだけ、不便で、すごく愛しい。――


今も、そこにある温度

今回、手元に残っていた写真は真夏の箱根。
友達が撮ってくれた一枚。
当時は特別な瞬間じゃなかったはずなのに、今見ると胸があたたかくなる。

あの頃のボクスターは、まるで悪友みたいな存在だった。
走って、壊れて、また走って。
思い出すと、楽しかった。

データじゃなくて、ちゃんとモノとして残したいと思ったのは、
きっとその記憶に温度があったから。

飾ったキャンバスを見て、誰かが言った。
「これ、絵なの?」
その言葉が、なんだか嬉しかった。

 


――屋根が開いてた日も、そうじゃない日も、
ちゃんと全部、宝物だった。――

 

 

 

イラストスタイル:フォトリアル

使用キャンバスサイズ:A3

オーダーオプション:ナンバー加工

 


 

CARveの詳細はコチラ

フォトリアルの詳細はコチラ